「バリスタ」ってコーヒー関係の言葉はよく聞くけど、具体的に何をする人なのかわからなかったりしませんか?
- バリスタにはどうやったらなれるの?
- バリスタには資格はあるの?
- バリスタになる試験内容・難易度、学校はどうなってるの?
など、職業としてのバリスタの認知度はまだまだ低いと思います。
結論から言うとバリスタになるのには、基本的には資格はいりません。
でもバリスタの認知度が低いからこそ専科を受講することで資格を取ることに意義があります。
バリスタってなに?
バリスタ(barista)とは、イタリア語で「バールでサービスする人」という意味です。
夜はアルコールドリンクも提供するお店のカウンターで飲み物をサーブするスタッフのことをいいます。
バーテンダーはアルコールドリンクの専門家であるのに対して、バリスタはノンアルコールを主に扱い、特にコーヒーに関する知識と技術に造詣が深いと言われています。
日本でのバリスタ
日本でバリスタという言葉が知られるようになってから20年ほどになります。
スターバックスをはじめとした世界展開しているコーヒーチェーン店や缶コーヒーを販売している飲料メーカーが、「バリスタ」という呼称を宣伝文句として使うようになって一気に一般的になりました。
バリスタ=コーヒーの専門家というイメージが定着したのもそのためです。
バリスタという言葉広がるに従って、バリスタという職業に対する評価も高まり、バリスタを目指す人も増えています。
バリスタの仕事
バリスタはバールにおけるドリンク全般の監督です。
中でもバリスタに期待されているは、コーヒーに対する深い知識と高い技術力です。
美味しいコーヒーの抽出
バリスタに求められる一番のことは「美味しいコーヒーをいれる」です。
大手チェーンであればどの店でも均一の味を保つようにしなくてはいけません。
個人経営などの小さな店では「独自の味の提供」を求められる場合もあります。
どちらの立場でも使用する豆と道具に対する知識と技能が必要です。
トップのバリスタを目指すのであれば、コーヒーの抽出技術だけでは足りません。
- 豆の選択
- 焙煎
- 道具の選択
- ミル
- 抽出
全てに精通していなくてはトップバリスタ(バールマンともいう)といえません。
競技大会を目指すクラスのバリスタは「理想の味わい」を目標にして、以下のの全てにこだわりを持って精進しています。
- 豆の産地(農場まで指定することもあります)
- 収穫の時期
- 豆への加工工程
- 保管方法
- 選別
- 使用する道具
- 焙煎
- グラインド
- 水
- 抽出
- 器
- サーブするタイミング
人気のラテアートもバリスタの仕事
鋭い味覚と感覚を求められるバリスタの仕事の中で、最近女性に人気なのがラテアートです。
ラテアートはエスプレッソにスチームミルク(蒸気で温めてホイップしたミルク)を浮かべ、スプーンやニードルを使い、ハートや花などの模様を描く技術です。
描かれた模様ばかりが目立つので絵心があればいいように思えますが、自在にデザインするためにはミルクとエスプレッソの状態が重要なポイントになります。
ミルクが温度やスチームする時間、ホイップの度合いでどのような状態になるのか、どのタイミングがラテアートにベストなのか、エスプレッソの温度は?などを見定める専門知識が求められます。
本当のバリスタはコーヒーだけではなく、ドリンク全般に精通している必要があります。
バリスタの競技大会
高い技術力と知識が求められる職業だけに、バリスタの腕を競い合う競技大会が毎年開催されています。
世界での競技大会
バリスタの競技大会はコーヒー企業や関連団体が主催しているものがいくつもあります。
中でも権威があり、ここでの優勝者は文字通り世界最高峰だと認められているのが、アメリカとヨーロッパの団体(SCAA_Specialty Coffee Association of America,SCAE_Speciality Coffee Association of Europe)が主催する「WBC_ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(World Barista Championship)」です。
毎年開催国をかえながら行われる、まさにバリスタのワールドカップです。2007年には日本でも開催されました。
時代に合わせてルールは毎年少しずつ変更されていますが、競技者は基本的に同じ道具を使い、以下の3つのカテゴリーで腕を競い合います。
- エスプレッソ
- カプチーノ
- シグネチャードリンク(オリジナル・アレンジのドリンク)
味わいだけではなく、立ち振る舞いの優雅さまでが総合的に審査されます。
世界中のバリスタがここでの優勝を狙って、コーヒー知識と抽出の技術だけではなく、客サーブする所作にも磨きをかけています。
日本での競技大会
日本でのバリスタ競技大会は「ジャパン・バリスタ・チャンピオンシップ(JBC)」が有名です。
この大会で優勝するとWBCへの出場資格を得ることができます。嬉しいことに2014年にはJBCで優勝した井崎英典さんがWBCでもトップの座を獲得しています。
日本人初の快挙です。井崎さんの優勝によって、日本人バリスタの間に本格的に世界を目指そうという気運が高まりました。
バリスタ競技大会は、バリスタという職業の認知度上げ、社会的地位向上にひと役買っています。
ネスレバリスタの普及
ネスレ日本もバリスタという言葉の普及にひと役買っています。
ネスレジャパンの提供するドリンク・サーバー無料貸し出しサービス「ネスレアンバサダー」は、「バリスタi」をはじめとして「バリスタ」を冠したコーヒーマシンを家庭や企業に無償で提供しています。
コーヒーなどのドリンク素材を定期購入するだけで本格的なバリスタ・マシンを無料で使えるサービスの利用者は40万人を超えています。このサービスがきっかけで「バリスタ」とう言葉を知ったというとう人も多いのではないでしょうか。
バリスタに資格は必要ない?
結論から言うと「バリスタになるために資格はいりません」
国家免許はありませんし、民間資格もバリスタになるための必須条件ではないのです。
バリスタに必要なのは修行のみ
バリスタになるために必要なのは「修行」です。
自分が気に入っている味わい、雰囲気を醸し出している店に弟子入りして、いちから技術を覚え、専門書や関連書などの本を読んで知識を深め習得するのが伝統的なやり方です。
しかし、日本では職業としてのバリスタの認知度も普及率も低く、未経験者が知識と技術を働きながら習得するのは難しいといえます。
そのためにバリスタの資格を得ることを目標に独学で勉強したり、学校やスクールに通ってスキルアップしていくのは有効な手段でしょう。
バリスタ資格の種類
コーヒー関連の資格はいくつかありますが、業界で名の知られているのは以下の2つです。
SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)「コーヒーマイスター」
日本スペシャルティコーヒー協会が認定するコーヒーの専門家・バリスタの資格です。
同協会では「コーヒーに対するより深い知識と基本技術の習得をベースとして、お客様へ豊かなコーヒー生活が提案できるプロのコーヒーマン」であることを認定された資格者を「コーヒーマイスター」と呼んでいます。
2003年にスタートした日本では初めての民間資格です。
2018年8月現在全国の認定者数は4873名です。
SCAJはジャパン・バリスタ・チャンピオンシップを主催しています。
JBA(日本バリスタ協会)バリスタライセンス
日本バリスタ協会が認定する資格です。
認定者は「JBAバリスタとしての基本的な知識や技術を身に付け、JBAが定める一定基準の エスプレッソコーヒーを抽出できる者」であることを認められます。
レベル1〜3までの段階を踏まえることで、より高い技術と知識の持ち主であることを証明できる制度になっています。
資格にバリスタの名称が冠してあるため、近年人気と信頼度の高まっている民間資格です。
取得に必要な費用
どの資格を得るにしても費用がかかります。
JBA(日本バリスタ協会)バリスタライセンスを例にとると
・レベル1のスクールの受講費用 40,700円(税込)
・レベル2の受講費用 55,000円(税込)
・レベル3の受講費用 66,000円(税込)
・どのスクールも2日間です。
・レベルアップするためには資格試験を受ける必要があります。
・レベル1が16,500円(税込)
・レベル2が22,000円(税込)
・レベル3が27,500円(税込)
・資格には有効期限があります。更新しないと失効します。
・有効期限は発行日から3年間。
・ライセンス更新料は16,500円(税込)です。
専門学校に増えているバリスタ・カフェ専科
バリスタを目指す人が増えているのに伴って、専門学校でもバリスタ、カフェ専攻学科を設けるようになっています。
世界的なバリスタを講師に迎え、受講者の目標とライフスタイルに合わせたカリキュラムを組んでいる食の専門学校「レコールバンタン」のように、バリスタ養成に力入れているところも増えています。
しかし、中にはブームに乗って従来からある菓子調理学科、パティシエ専科にバリスタ用のカリキュラムを加えただけで「バリスタを目指せる」と宣伝している学校もあります。
受講、入学前に授業内容、講師陣の顔ぶれをチェックしましょう。将来自分で店を持ちたいと考えているなら「カフェオーナー専科」を受講するのも有意義です。
海外にバリスタ留学
海外に目を向ければ歴史あるバリスタ専科を設けている学校が多数あります。それらの学校に留学して、現地のバールで腕を磨き、帰国してから有利な条件で就職先を見つけるのも賢いやり方です。
海外留学というとある種冒険的なことだと感じてしまうかもしれませんが、本気でバリスタを目指すのであれば選択肢の少ない国内よりも有効です。
中でもオーストラリアの語学学校にはバリスタコースを併設しているところが数多くあります。特にイタリア文化の影響が色濃いメルボルンは好評です。
英語を学びながらバリスタの知識と技術を学べば一石二鳥、好きな分野の授業であれば短い時間で言葉を習得できるはずです。
費用は1日1万円程度から1ヶ月20〜30万円程度まで様々です。短気〜長期まで自身の目標に合わせて留学先を選べます。もちろん滞在費は別に必要です。
バリスタ資格のまとめ
国内でも認知度の高まっているバリスタですが、バリスタ募集の広告で入ったのに、実際はレストランの洗い場や調理スタッフに回されたり、飲食業界にありがちの低い賃金に苦しめられたりと、その道はまだまだ険しいものがあります。
しかし、民間とはいえ権威のある資格があり、国際的な競技大会もあります。
自身の腕を客観的に評価してもらえるチャンスのある職業です。
サービス業が経済の中心なるであろう未来、高い技術と深い知識を持つバリスタの需要は増え、労働条件も改善され、その社会的地位はさらに高くなっていくと予想されます。